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元自衛官の軍事学入門

軍事アレルギーの広がる日本。 これは、外交的にマイナス要因であり、未来に不安を残すものです。 そうしたアレルギーがなくなればいいと「軍事」についてお話していきたいと思います。

わかりやすい災害派遣

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わかりやすい災害派遣


熊本地震で全国各地の部隊から被災に送られ活動しています。自衛隊法に定められている「自衛隊の行動」です。東日本大震災で大規模派遣され、様々な説明がなされました。目立ったのは、〝「高度な自己完結性」を持つ自衛隊〟だからと説明されました。

派遣される側は実はそうは考えていません。外敵の侵攻により「国民の生命・財産」を脅かすのと、自然災害が「国民の生命・財産」を脅かすことは全く同じだと捉えています。ですので、被災地で活躍できるのです。


災害派遣に反対する勢力や、自民党内にも同じような考えを示している代議士もいます。もっともなことです。被災地では自衛隊だけでなく、警察、消防も活動しますが、人命救助という点では消防、警察、自衛隊の順になります。

消防組織法第1

消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害による被害を軽減することを任務とする。



警察法第2

警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務とする。



自衛隊の災害派遣に子供たちからの感謝の手紙などが届けられていますが、現場の隊員にはとても有り難いものです。でも、現実的な話をすれば、警察や消防の方が災害派遣では大変な思いをしています。



警察や消防は自治体が所管していますので、全国展開は苦手です。派遣が決まれば、宿舎や食事の手配など様々な事務処理が待っています。部外者になって感じるのですが、大規模災害に派遣される場合には、警察・消防も自衛隊の枠組みの中で運用した方が効率が上がると思います。宿舎や食事の手配も省かれ、緊急展開に適した運用が可能となるのではないでしょうか。



そうした運用は、有事の際にも役立ちます。コスト削減上も、検討されるべき課題だと思います。



私は起こるとされる首都直下地震、南海トラフ地震は大きな被害が予想され、その被害はまさに「国難」といえるものになるでしょう。例えはよろしくありませんが、日本に敵対する国が大規模侵攻した場合以上の被害をもたらすことになるでしょう。



集団的自衛権行使容認など有事に居丈高になっている安倍首相ですが、今後、起きるであろう大規模震災に国運を賭して立ち向かう覚悟を持って欲しいものです。



自衛隊はアメリカ軍のように外征軍ではありません。ですから、国防と防大を切り離して考えることは無駄です。敵対国と自然災害という脅威を一元的に捉え、対処することができるはずです。

熊本地震の被災地にボランティアが多数入り、活動しています。ボランティア制度が日本に浸透したと嬉しく思う反面、発災直後から動き出す民間救護隊等が作られるべきではないかと個人的に考えています。



例えば、労組など巨大な組織ですから、数万~数十万の組織ができるはずです。イデオロギーのためにアンチ自衛隊もいいですが、彼らのイデオロギーには同胞を助けるというカテゴリーは存在しないのでしょうか。是非とも検討して欲しいことです。南海トラフ地震の被害想定は、関東以西で死者32万人超という数字がだされています。単純比較ですが、東日本大震災の16倍超の犠牲者がでることになります。東日本大震災では約10万人が災害派遣されましたので、単純計算ではこの16倍。約160万人が派遣されなければならないことになります。約23万人の自衛隊には到底無理です。10万の派遣でさえ能力を超えた数字でした。



イデオロギー、思想信条をとやかく言うつもりはありませんが、戦争は政治や外交により避けることは不可能ではありません。しかし、自然災害は避けられない“現実”なのです。ここから導き出されるのは、防衛問題だけに鼻息を荒げるのではなく真摯に首相閣下に考えて欲しいということに尽きます。

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HN:
元自衛官
性別:
非公開

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