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元自衛官の軍事学入門

軍事アレルギーの広がる日本。 これは、外交的にマイナス要因であり、未来に不安を残すものです。 そうしたアレルギーがなくなればいいと「軍事」についてお話していきたいと思います。

日本人の知らないアフリカ大陸

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日本人の知らないアフリカ大陸

「ブラックアフリカ」という言葉をご存知だろうか。


アフリカの黒人(ネグロイド)が主に居住する地域を指している。白人(コーカソイド)が主に住む北アフリカ(ホワイトアフリカ)と対比される際に用いられる。サハラ砂漠以南(サブサハラアフリカ)の同義語といっていい。

アフリカはサハラ砂漠以北はエジプトに代表される地域は中東地域の一部として、古代ギリシア・ローマ時代からエジプトやカルタゴに代表される地中海文明として歴史に刻まれて来た。

しかし、サハラ砂漠以南はかつてヨーロッパ人たちは、この地域に自分たちが入域したことのない未開の地であり、他地域と接触すらない地域だとして、「暗黒大陸」と呼んでいた。

サハラ砂漠以南には歴史的にはネグロイドによる王国や帝国が存在していたが、コーカソイドにより記録された歴史からは消し去られ忘れ去られている。

現在、アフリカ大陸は貧困と騒乱の国と印象付けられているが、そうなった理由があるが、その理由についてコーカソイドを中心とする先進諸国はまったく理解しようとしない。

我々、モンゴロイドはアフリカ大陸に注目し、ネグロイドともに未来を考えなければならないが、現実はコーカソイドにより改ざんされた歴史に騙され、少数の人間だけが"真実"に目を向けている。

~帝国主義に食い荒らされたアフリカ大陸~

19世紀前半までのポルトガル、イギリス、フランスなどのヨーロッパ勢力はアフリカにこぞって進出した。彼らは海岸部に交易の拠点を設け、内陸部の現地首長らと黒人奴隷貿易を行っていたが、19世紀中期になりアフリカ探検が進められ、内陸部に豊富な資源の存在が注目されるようになる。

ヨーロッパ資本主義諸国にとり、アフリカ大陸は「暗黒大陸」から資源の供給地である「資源大陸」に変わり、同時に市場として、資本を投下する地域として脚光を浴びるようになる。列強はこぞってアフリカを自国の領土とするようになる。

1870年代、イギリスによるエジプト支配。フランス、ポルトガル、ドイツ、イタリアにより分割が進められ、ベルギー王国のレオポルド2世によるコンゴ領有を機に、ドイツのビスマルクによりアフリカ分割に関するベルリン会議が開かれ、列強の利害が調整された。

19世紀末、イギリスはアフリカ縦断政策と採り、フランスはアフリカ横断政策で対抗し衝突まで発展する。前面衝突は回避されたが、この衝突によりアフリカの主導権はイギリスが握り、イギリスはさらに南アフリカ戦争でアフリカ南端のケープ植民地を拡張し南アフリカ連邦を成立させた。

アフリカ大陸は1900年頃までにエチオピアとリベリアを除きすべてが列強の支配下に置かれてしまう。

このヨーロッパ列強の支配が、現在のアフリカの悲劇を招いている。

ヨーロッパ列強は支配を優先し、そこに住む住民のことなど無視された。

第二次世界大戦後、1950年代になりアフリカ諸国の独立運動が活発になり、1960年には一挙に17か国が独立する。

これらの国々は、アフリカ的社会主義と呼ばれる経済政策を採った。これは植民地となる前に存在した共同体社会(原始共産制)復活を目指そうというものであった。

狩猟採集社会では、階級支配は存在せず、富の余剰も作成されず、食料や衣服など全てが共有されていた社会を目指した。

しかし、全てが国有化されることになり、国家による統制が強まり、逆に工業化の遅れにより豊富な資源は利用されず、逆にヨーロッパ諸国に搾取されることになってしまった。

冷戦時代となり、(旧)ソ連はアフリカ大陸の豊富な資源に着目した。ソ連はアフリカ大陸の資源を利用し、西側諸国を分断することを画策したのである。アフリカ大陸にソビエト共産党の影響力が強まると、これに対抗して西側諸国が経済援助や武器提供が行われた。

~武器輸出=武器商人という矮小化された日本人の不見識~

日本人は武器を商品として扱うと、「武器商人」と短絡的な平和ボケ症状を呈する。この国の不幸は、国民だけでなく平和ボケは多くの国会議員にまで蔓延していることである。

武器を売る(輸出する)国は、他国に武器を持ち込むだけでなく、武器の使い方、修理方法の教育・指導、現地での訓練等のために技術者や軍人を派遣したり、輸出先から研修者を招致することが必要となる。さらに輸入した国は、その兵器により軍の運用に影響を及ぼし、戦術の転換や国家戦略にまで影響することが考えられる。

輸入国はこれにとどまらず、部品・弾薬等の安定的・継続的提供を受けなければならず、その可否は輸出国にかかっており、武器の輸出入の関係は輸入国は輸出国に隷従することにもなる。他人事と思ってはならない。我が国と米国との関係が、そのもなのである。

冷戦時代、あらゆる武器が提供され代理戦争ともなったが、米ソ両国には核戦争にまで発展しないよう危機管理機能が働いていた。しかし、冷戦の終結によりタガが外れ、くすぶっていた火は一気に燃え上ってしまう。

アフリカ大陸の紛争の根本にある原因は、ヨーロッパ列強の支配である。植民地化した地域を勝手に国境線等の線引きを行い、そこに住む住民の部族など一顧だにされなかった。

こうした混沌のままアフリカ諸国は独立してしまい、国境線紛争、資源埋蔵地の領有、部族の分断などの問題があった。こうした背景があり、冷戦状態で米ソ両国の影響が強かったが、冷戦の終結で完全にタガが外れ、大量にある武器を使い武力衝突となっているのが現在の状況である。

冷戦の終結は、アフリカ大陸をさらなる過酷な状況に追い込んでしまう。

欧米諸国はアフリカ大陸の衝突を抑制しようと民主化と市場主義経済への転換を求め、この指示に従わなければ支援しないという態度を取った。当然、アフリカ諸国はこれに反発する国も少なくない。

この欧米諸国の要求は、今度はアフリカ大陸に中国の進出を容易にさせてしまう。

アフリカ諸国の多くは、埋蔵資源を有効活用できないまま紛争が続き、軍事予算を多くは投入できずにあるジレンマを抱えている。当然、安価な兵器が求められ、その安価な兵器を提供してくれる中国の存在は歓迎された。

そこでアフリカ諸国と中国の関係は、武器の輸出入で隷従関係となってしまった。中国はアフリカ大陸の資源を狙っているが、アフリカ諸国に取り入るこは成功している。その成果が、日本が国連安保理常任理事国入りを目指した際に、アフリカの多くの国が反対票を投じたことからもわかる。

アフリカ大陸は「暗黒大陸」ではなく「悲劇の大陸」である。自分たちの手で何も決められず、一方的に帝国主義列強に支配され、第二次世界大戦後独立に向けて動き出すと、今度は冷戦という支配に取って代わられた。そして、冷戦の終結で、中国が現れてアフリカの資源を狙うようになる。

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